本場ベルギーワッフルの真実とは?カリッと香ばしい極秘レシピ
ベルギー ワッフルは、単なる甘味の枠を超えた欧州食文化の象徴だ。古くから石畳の街頭を染めてきた香ばしいバターとバニラの香りは、今や世界中の人々を魅了してやまない。洗練されたスイーツ・デザートとして国際的な市場を席巻する今も、その生地の深奥には数百年かけて磨かれた職人たちの情熱が息づいている。
街を歩けば、焼きたてを買い求める人々の列が途切れることはない。日本でもコンビニや洋菓子店で馴染み深いベルギー ワッフルだが、実は現地において「ワッフル」の一言で注文を済ませる者は誰もいない。なぜなら、そこにはまったく性格の異なる2つの王道スタイルが存在するからだ。
ブリュッセル風 vs リエージュ風!本場が誇る2大スタイルの決定的な違い

ベルギー国内で「ワッフル」を口にする際、まず問われるのがその出自である。代表格とされるのが、首都の名を冠したブリュッセル風と、東部の古都に由来するリエージュ風の2つだ。この二者は見た目も食感も、さらには食べるシーンすら全く異なっている。
ブリュッセル風は、端正な長方形と深い格子模様が特徴だ。卵白をしっかりと泡立てた軽い生地で作られ、外側はサクッと香ばしく、中は驚くほど軽やか。粉砂糖や生クリーム、フレッシュなイチゴを添えてナイフとフォークでいただくのが、正統派のスタイルとされる。一方のリエージュ風は、不揃いな丸型でズッシリとした重量感を持つ。生地にパールシュガー(ポップシュガー)が練り込まれており、焼き上げる過程で砂糖が溶け出して表面がカラメル状にコーティングされる。手持ちで食べられる手軽さと、噛むたびに溢れる甘みが魅力だ。どちらもベルギー伝統料理の歴史に燦然と輝く名品であり、現地の人々は自らの好みを熱く語って譲らない。
現地職人が明かす!家庭で本物の「カリッ・ふわっ」を再現する極秘レシピ

本場の焼き立てが持つあの独特な香ばしさと絶妙な食感は、いったいどのようにして生み出されているのだろうか。プロの技を家庭のキッチンで再現するための秘訣を、現地の老舗職人に聞いた。
鍵を握るのは「イーストの発酵」と「油脂の温度管理」だ。多くの家庭用レシピではベーキングパウダーが代用されがちだが、本物の風味を生むにはイースト菌による低温長時間発酵が欠かせない。発酵によって生じる微細な気泡が、加熱時に一気に膨らみ、独特の軽い噛みごたえを作り出すのだ。さらに、製菓・洋菓子業界のプロが強調するのがパールシュガーを入れるタイミングだ。生地の発酵が完全に終わった直前、焼成の直前に混ぜ込むことで、砂糖が溶け切り過ぎず、外側のカリッとした歯ごたえと香ばしいカラメル層が完璧に仕上がる。鉄板はしっかり200度近くまで予熱し、一気に閉じ込めるように焼くこと。これだけで、お店顔負けの極上の焼き上がりが約束される。
1964年ニューヨーク万国博覧会から世界へ:モーリス・ヴェルマーシュの革新

今日のように世界中でベルギーの味が認知されるに至った背景には、一人の先駆者の存在があった。その人物こそ、実業家のモーリス・ヴェルマーシュである。
彼は1964年ニューヨーク万国博覧会において、自身のブースでブリュッセル風ワッフルを披露した。当時、アメリカでは「ベルギー」という国の認知度すら十分ではなかったため、彼は親しみやすさを込めて「ベル・ジェム・ワッフル(Bel-Gem Waffle)」と命名。ホイップクリームと真っ赤なストロベリーを贅沢に乗せた一皿は、会期中に記録的な大ヒットを記録した。大行列を作ったアメリカ人たちは、その未知のサクサク感と豊かな味わいに衝撃を受けたという。この万博での大成功が引き金となり、欧州の一ローカルフードに過ぎなかった甘味が、一躍世界規模のトレンドへと駆け上がっていったのだ。
日本に旋風を巻き起こした「マネケン」と世界のプレミアム化波及
日本におけるブームの原点を辿ると、1986年に大阪で誕生した「マネケン(Manneken)」の存在に行き着く。焼き立てのリエージュ風ワッフルを街頭で提供するスタイルは、瞬く間に日本中の甘党を虜にし、駅ナカの定番スイーツとしての地位を確立した。
近年ではこのカジュアルな定番商品に、さらなる高級化の波が押し寄せている。観光・外食産業が復活の兆しを見せる中、高級ショコラティエとして世界的に有名なピエール・マルコリーニをはじめとするトップシェフたちが、ワッフルの再解釈に乗り出しているのだ。厳選されたカカオや発酵バターを惜しみなく使用し、一皿数千円の値がつくプレミアムな一品として提供されるケースも珍しくない。ファストフード的な親しみやすさと、ガストロノミー(高級美食)としての格式。その両極を自在に行き来できる懐の深さこそが、このスイーツの真骨頂と言える。
ユネスコ無形文化遺産への期待とNetflixが放映する最新ドキュメンタリーの波紋
文化的な価値の再評価も進んでいる。ベルギー国内では現在、ワッフル製造の伝統技術と食文化をユネスコ(UNESCO)の無形文化遺産へと登録申請する動きが本格化している。ビールやフリッツ(フライドポテト)に続き、自国のアイデンティティを守り次世代へ継承するための重要なステップと位置付けられているためだ。
こうした動きに拍車をかけたのが、動画配信大手Netflixで公開された最新の料理ドキュメンタリー番組だ。職人たちが深夜から仕込みを行い、伝統の鉄板に向き合う姿を美しい映像で切り取った映像作品は、世界的な反響を呼んだ。SNS上では「本物の味を求めて現地を訪れたい」という声が急増しており、伝統文化を守り抜こうとする現地職人たちの誇りが、国境を超えて多くの人々の心を動かしている。
進化を続ける世界のワッフル文化と私たちが目指す真の味覚体験
時代が移り変わっても、焼き立ての香ばしい生地を一口頬張った瞬間の幸福感は変わらない。クラシックな伝統を守り続ける職人がいる一方で、グルテンフリーやプラントベースの原料を取り入れた新しい試みも世界各地で芽生えている。
スーパーの棚に並ぶ量産品や冷凍食品の手軽さも魅力的だが、一度でも本物の製法で作られた出来立てを味わえば、その概念は覆されるだろう。表面のサクッとした歯ごたえ、内部のしっとりとした弾力、そして口いっぱいに広がる芳醇なバターの香り。真の美味さを知る旅は、たった一口のワッフルから始まるのだ。 (出典: ベルギー ワッフル(Yahoo!ニュース))